あるコンペで3位入賞した作品が極めてユニークということで評判になっているというウェブ上の記事が昨年あった。
実現を前提としない仮想テーマによるいわゆるアイデアコンペなのだが、「Archtriumph」という英のサイトが「セーヌ河にかかる現代の橋」というテーマで案を募集したところ、フランスの建築家グループAZCが提案したのは、橋の欄干をPVCの空気膜チューブで作り、これをドーナッツ状のアーチにしたものを3個連続させて、ドーナッツ状の穴の部分にメッシュ状のトランポリンを張り、ピョンピョン跳びはねながら向こう岸に渡るというアイデアで、たくさんの人間がセーヌ河上に浮かんでいるドローイングは楽しそうな雰囲気がとても良く伝わってくる秀逸なものであった。
提案趣旨に「渡るだけでなく、観光客や住民がもっと楽しんだり遊んだりできる橋を目指した」とあるとおり、河を渡るという行為そのものを捉えなおしたところにこの提案のユニークさがある。
仮に実現させるとなると、安全上の問題をはじめとして検討すべき課題は多いが、それにしてもこんな橋がどこかにあったらいいなと思わせるだけの魅力がある近頃まれな提案で、ある行為の意味や在り方を考え直すことの重要性を再認識させられた次第であった。
(図はAZCのウェブサイトhttp://www.zundelcristea.comより転載)
(2013/02/01)